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 日本語の方言は、多くが高低アクセントを持っており、英語のような強弱アクセントではない。ただし、一部の方言はアクセントがなく、無アクセントとされる。

 有アクセントの方言のうち多くの方言では、音の下がり目がどこにあるかが区別される。

 例えば東京方言で「雨が」は「あめが」と発音され「あ」の後に下がり目がある(高く発音する部分を太字で表す。以下同じ)。「足が」は「あしが」と発音され「し」の後に下がり目があり、「風が」は「かぜが」と発音され下がり目がない。下がり目の直前の拍を下げ核(アクセント核)と言い、○で表す。東京方言の「雨」は ̄│○型を持ち、「足」は○ ̄│型で、「風」は○○型で下げ核がない。

 上がり目は単語固有のアクセントではなく、たとえば「このかぜが」「このあしが」のように移動することがあり得る。

 日本語のアクセントは地方によって異なっているが、無秩序に異なっているのではなく、規則的な対応関係がある。たとえば「風が」「鳥が」「牛が」を東京で「低高高」と発音し、京都で「高高高」と発音する。「足が」「犬が」「月が」を東京で「低高低」、京都で「高低低」と発音する。「雨が」「秋が」「声が」を東京で「高低低」、京都で「低高低」と発音する。

 このような規則的な対応関係は、東京と京都だけでなく全国の方言間にあり、このことは、全国の方言アクセントが一つの祖アクセント体系から分かれ出たことを意味する。そして、文献資料や現代方言の比較から、記録に残る平安時代の京都アクセントが祖アクセントに最も近い体系を有していたと考えられている。

 祖体系に見られるアクセントの型区別に従い単語を分類した各グループを類(語類)と呼ぶ。2拍名詞には1類から5類までの5つの類があり、前述の「風・鳥・牛」は1類、「足・犬・月」は3類、「雨・秋・声」は5類である。現代諸方言のアクセントは、平安期京都アクセントに近いものが様々な変化をしてできたものと考えられ、各地とも変化の過程ではいくつかの類が統合して同じ型になっている。現代諸方言のアクセントは、各類がその地でどのような組み合わせで統合しているか、また各類がどういう型になっているかによって比較することができる。

 全国のアクセントの分布は図のようになっている。比較的広範囲で話されているものに、東京式アクセント(乙種アクセント)、京阪式アクセント(甲種アクセント)、二型式アクセント(西南九州式アクセント)があり、またそれぞれの変種アクセントや中間アクセントがある。


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