水上勉氏の小説「櫻守」のなかで、桜の大家が語る。「ええ桜ほど、肌に傷がついてますわ。キズで寿命をちぢめるのも木なら、キズで、大きく育つのも木のおもしろさです」。
受けた“キズ”が木のもつ本来の生命力を、たくましくさせるというのだ。人生も同じであろう。困難があったからこそ大成できた、という人は多い。人生の勝因は、艱難がないことではなく、悲哀を制する戦いがあったかどうかであろう。
一人の老婦人が孫が出席する会合に参加していた。「私は、この子の母親代わりのばあちゃんです」と、孫を見つめた。孫は今春、高校を卒業したばかり。「うれしくて、居ても立っても居られず、ついて来ちゃいました」と祖母。
娘を、また、母を亡くした二人の悲嘆は計り知れない。だが二人は、感傷と決別した。祖母は娘に代わって、孫を立派に育て上げることに生きてきた。孫娘も、懸命に育ててくれた祖母の恩にこたえようと真っすぐに努力を重ねた。
桜は、花を散らすと、ほどなく、来年の開花の準備を始める。そして、厳冬を耐え抜いた春に、これまでの努力を爛漫と咲かせる。苦難を勝ち越えゆく二人の人生が、必ずや満開となることを思った。
受けた“キズ”が木のもつ本来の生命力を、たくましくさせるというのだ。人生も同じであろう。困難があったからこそ大成できた、という人は多い。人生の勝因は、艱難がないことではなく、悲哀を制する戦いがあったかどうかであろう。
一人の老婦人が孫が出席する会合に参加していた。「私は、この子の母親代わりのばあちゃんです」と、孫を見つめた。孫は今春、高校を卒業したばかり。「うれしくて、居ても立っても居られず、ついて来ちゃいました」と祖母。
娘を、また、母を亡くした二人の悲嘆は計り知れない。だが二人は、感傷と決別した。祖母は娘に代わって、孫を立派に育て上げることに生きてきた。孫娘も、懸命に育ててくれた祖母の恩にこたえようと真っすぐに努力を重ねた。
桜は、花を散らすと、ほどなく、来年の開花の準備を始める。そして、厳冬を耐え抜いた春に、これまでの努力を爛漫と咲かせる。苦難を勝ち越えゆく二人の人生が、必ずや満開となることを思った。