
「
ユッスー・ンドゥール 魂の帰郷」を観ました。
ユッスーは、今やアフリカ音楽だけでなく、世界的に重要なシンガーであるといえる。
私はもう10年ほど前になるけど、ホンダのステップワゴンのコマーシャルで「オブラディ・オブラダ~♪」って歌っていたのを覚えているけど。
でも特にユッスーの作品をちゃんと聴いたことはなくて。
アフリカ音楽は、おととしくらいから不思議に縁があって、マリやセネガルのものを聴いてはいたけど。
ユッスーに、なんでたどり着かなかったんだろう・・・
すべてが生まれた場所(と私は思ってる)アフリカ。
そこで生まれた音楽は、世界中にかたちを変えて息づいている。
たとえばゴスペルやジャズに。
その影に長く続いた奴隷売買の歴史があることは、もう語られることも少ない。
しかしアフリカ音楽のルーツを探る上で、その事実は知っておかなくてはならない重要なことであることを、この映画で強く思った。
この映画では、ユッスーがその苦痛に満ちたルーツを仲間とともに探っていく旅でもある。
ユッスーの旅は、奴隷が渡って行ったアメリカから始まる。
アトランタでは牧師たちが歌うゴスペルとのコラボ、ニューオリンズやニューヨークではジャズとの。
しかし決してユッスー自身の曲を押し付けるのではなく、その道を極めた世界中の友人たちと、アフリカ音楽の起源への思いを共有しながら演奏していくスタンスである。
そのミュージシャンたちは、奴隷がアメリカへ渡る前に収容されたセネガルのゴレ島まで旅を共にし、自身の中にあるその血がどういう歴史を刻んできたのか、より一層感じたに違いない。
ジャズみたいに洗練された音楽の奥底にこんな悲惨な現実があったなんて、今となっては考えられない。
だけどゴレの「帰らずの扉」には、今でもなお語りべとしてその事実を伝える人がいる。
ちゃんと知っておきたいことだ。
ユッスー自身もグリオ(史実を伝承していく語りべのような人)の家系に生まれた、歌う現代のグリオなのだろう。
セネガルやマリの曲は、昭和歌謡に似ててすごく好きだなぁということは感じていたけど、今回ユッスーの歌にふれて、その歌詞にもだけどその訴えてくる声には胸を震わされた。
きっと私のなかにある何かのルーツが反応してたんだろう、涙が流れて仕方なかった。
世界中に好きな音楽はいっぱいある。
だけどこんなに何かを感じることができる音って少なかったりするのに。
またひとつ大切な思いを持てたこと、感謝したい。