ある日 俊彦の従兄弟である邦彦から電話があった。邦彦は会社をリストラされ、依願退職という名目で退職し、カフェを始めるという。その頃、アルバイトも見つからず自宅にいた三男に、店を手伝って欲しいと頼まれた。オープンしたばかりのカフェで、給料も払えないが食事は付けると言う。三男も家で何もせずに居るよりはと、手伝うことにした。通勤の乗り物が無かった息子を、私が開いている店に近いこともあり、送り迎えすることになった。同じく絵恋の息子も同じ条件で手伝うことになった。一週間を過ぎた頃、息子の顔が曇りだしたのである。あまり人のことを言わない息子だが、客が帰る度に、客の文句や悪口を言うらしいのだ。60を前にした伯父の人間性に嫌気がさしていたようだ。しかし、私は息子にこう言った。「アルバイト料を貰っている訳でもないから、必要以上に我慢することはないけれど、社会にはいろんな人がいる。人の振り見て、わが振り直せで、伯父さんの嫌なところを見て、自分はそうゆう事をしないでおこうと、人生勉強にもなるよ。もう少し頑張ってみたら」その言葉に息子も納得したようで、その後も続けた。
