2008-04-13

[東北] 多重人格・シビルの記録より

「手をお見せなさい」とドクターはその腕をつかんで言った。患者は彼女に触られたことでひるんだ。「けがをしたかどうか見たいだけですよ」とドクターはやさしく言ってきかせた。いまは、患者はまったく平静になって立っていた。椅子から飛び上がって以後、はじめてウイルバー博士を見たその目は、とまどいで大きく開かれていた。男たちをあざけったときの声とはまったくちがった悲しげな〝小さい女の子〟の声で患者はきいた。