
日銀は7日、各支店からの景気報告をとりまとめた「地域経済報告(さくらリポート)」を発表した。総括判断は、全9地域のうち東北を除く8地域が下方修正。8地域の下方修正は、前回(4月)に続き2回連続となった。
個人消費は全地域が下振れし、設備投資にも警戒感が出てきており、厳しさの増す日本経済の実態があらためて裏付けられたかたちだ。
<全体判断は据え置き>
東北は「足踏み感がみられている」との判断を維持したが、他の8地域は判断を下方修正。ただ、各地域をみると、減速しつつも「引き続き高水準にある」とする東海から、「弱めの動きとなっている」とする北海道まで、依然として地域差がみられる。
早川英男・名古屋支店長は「東海地方の場合は、自動車、一般機械など機械産業のウェートが非常に高いので、鉄鋼の大幅な価格上昇が(マイナスに)効いている」と説明。もっとも「輸出・生産は頭打ち感は出ているが、大きく落ちる状況にはない」と楽観的な見方も示した。
一方、宇平直史・札幌支店長は「景気はジメジメしていて、少しずつ重くなっている」と先行きの警戒感を強めた。
鮫島正大・大阪支店長(理事)は、関西経済について「ひところに比べ減速している」と指摘。その理由として「原材料高や円高により、企業収益が減益に転じて、企業から家計への所得の波及もやや弱くなっているので、内需の伸びが鈍化している」ことを挙げた。ただ、古屋支店長と同様、「輸出・設備投資といった堅調な部分は、崩れているわけではない」とも付け加えた。
関西地区の経営者からは、米国経済の下振れリスクや、新興国のインフレが先進国に与える影響などを不安視する声が上がっている、という。
<個人消費は全地域が下方修正>
項目別では、全地域が個人消費の判断を下方修正。「雇用者所得の緩やかな増加を背景に、総じて底堅く推移しているものの、弱めの動きが増えている」と慎重な見方を示した。衣料品や雑貨、身の回り品を中心に弱めの動きがみられるとの報告が聞かれた、という。
河野圭志・福岡支店長は、個人消費について「ここへきて急に悪くなってきていることは、実はあまりない」と指摘。「消費マインド自体はすでに昨年末からかなり悪化しており、その割には実際の係数はさほど悪化していない。ただ、全体としてみると、やはりじわりと悪化しているような感じがある」と述べた。
具体的には、海外旅行や高級ブランド品などが「底堅いとは言えない」としている。
<設備投資に警戒感>
日銀は同時に「最近の企業の設備投資動向」と題した調査結果も公表。設備投資について「企業の規模や業種の違いによる投資スタンスのばらつきが一段と鮮明化している」との見方を示した。
大企業・製造業は「総じてみれば、中長期的な戦略に基づく投資は着実に実施するとのスタンスを崩していない」としたものの、大企業・非製造業は「投資スタンスにはいく分、慎重さがうかがわれる」、中小企業は「業種にかかわらず抑制的な投資スタンスが広がりつつある」と指摘した。
こうした状況から「今後の企業収益や内外経済の動向次第では、中小企業の抑制スタンスが一段と強まるのみならず、大企業の中長期的な戦略に基づく投資計画にも少なからず影響が及び、地域経済の下支え効果がはく落するリスクには留意する必要がある」として、先行き警戒感を示した。